命より大切なものは何もない。

なんて誰が言ったんだろう。



約束



「何かあるのか？」

「え？」

「命より、大切なもの。」

「・・・・・あるよ。じゃないと、オレはもうとっくに、こんな命投げ出してる。」

「・・・・・・・・・命がけで守りたいとかじゃなくてか？」

「そういうのも、素敵だね。」





『ファイ、命より大切なものはあるか？』

『命より・・・・・・？』

『そう、命より。』

『・・・・・・・・・・・・アシュラ王。』

『そうか。・・・それなら、私より先に死ぬな。』

『え・・・お、王をお守りする者が、王より先に死ぬのは当たり前です。』

『私には、お前の方が大切だ。』

『そ・・・・・・そんな事を・・・仰られても・・・・・・』

『お前が先に死んだら、私はあとを追うぞ？』

『王ともあろうお方が・・・そのような・・・・・・。』

『困るなら、先に死ぬな。』

『・・・・・・命より大切なものって言うのは、それのために死ねるものの事じゃないんですか・・・？』

『ファイ、命より大切なものとは、それのために生きるもののことを言うのだよ。』

『・・・・・・じゃあ、アシュラ王が亡くなったら、オレも後を追っていいですか。』

『構わぬよ。一緒に逝ってくれるなら、寂しくなくていい。』

『じゃあ・・・・・・そうします・・・。』






貴方は一つだけ間違えてる。

命より大切なものは、それのために死ねないものの事を言うんです。



あの時、オレには貴方を殺して、約束どおり後を追うことだって出来た。

それでも、ほんの一瞬でも、貴方のいない世界に取り残される恐怖が、生の恐怖に勝ったからこそ。







「何もなかったら、もうとっくに死んでるのに。」

「テメエの命はテメエだけのもんだろ。死ぬも生きるもテメエの勝手だ。」

「そうもいかないんだよ。」

「死にてえなら殺してやるぞ？」

「・・・そうも、いかないんだよ。」






あの時、約束を違えて一人先に逝く事だって出来た。

今ここで、彼の手にかからずとも、死ぬことくらい出来る。

でも、ほんの一瞬でも、貴方を生の闇に残す恐怖が、死の喜びに勝ったからこそ。

もういないオレを探して、貴方を彷徨わせたくないからこそ。




どうか早く目覚めて

どうか早く見つけて

そしてどうか―――



貴方の手で約束を違えてくれれば

もうこの命より重いものなんて何もないから








暗・・・・・・。
うじ虫がわきそうです。
多分アシュファイ。
ってゆーか、もうこの人王じゃないよ。こんな自分勝手な王様いらないよ。
そもそも、逃げた恋人追っかけて世界を渡るって、一国の王としてどうなんですか！！
情熱的な男性は素敵だと思います（//＿//)（おい）


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＢＡＣＫ