一度だけ自分からキスをしました。
貴方はもう、眠ってしまった後だったけれど。




キス




たった一つのキスが、言葉よりも雄弁に想いを伝えるんだとか。

「そんな事ないよねー。」
「あ?」

あれ、なんでそんな目で見られるのかなー。

「黒るーは、キスの方が雄弁だと思うのー?」
「俺は、そんなことを話題にしたがる、テメエの頭が理解できねえんだよ。」
「あー、成る程。」

苦手そうだもんねえ。こーゆー甘い話。
じゃあ、ご要望にお答えして。

「オレは言葉の方がいいと思うよ。」
「・・・・・・・・・それがどうした。」

うわぁ、不機嫌そうな顔。それでも付き合ってくれるから、やめられないんだよねー♪

「オレは言葉の方が欲しいんだよ?」
「だから何なんだよ!?」
「自分に言われてるってゆーのは、分かってるー?」
「・・・・・・・・・。」

睨まれてるのは、照れ隠しかなー。
思い当たる節はあるみたいだねー。

「黒様ー。」
「何だよっ!?」
「好きだよ。」

あ、コップ倒した。空でよかったね。何をそんなにうろたえてるのかな。

「いつも言ってることでしょー。」
「・・・お前の言葉は軽いんだよ・・。」
「ふーん?本気で言ってるつもりなんだけどねー。」
「言い方が軽いんだよっ!」
「へえ・・。じゃあ、重い言い方ってどんなの?」
「・・・・・・・・・。」

あー、固まっちゃった。ホントに、いちいち反応が面白いよねー。

「ねー、重い言い方ってどんなの?」
「テメエ・・・・・・。」

およ。
・・・先生、オレは言い方を聞いたはずですがー。

「キスは頼んでないよー?」
「うるせぇっ!」

何で自分でしといて、自分で赤くなるのかな。

「キスより、言葉にする方が恥ずかしいの?」
「誰がそんな事・・・!」
「行動で示してるでしょー。」
「示してねえ!!」

怒るってことは、自覚があるんじゃないの?

「そーゆーお前こそ、何でそんなに言葉がいいんだよ。」
「ごまかそうとしてない?」
「してねえ。」

してるでしょ。別にいいけどねー。

「言葉にされた方が、はっきり伝わる気がしない?」
「・・・言葉は・・・信用ならねえ・・・。」
「キスの方が信用できるの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」

そんなに真剣に悩まなくても。
でも確かにねー。言葉は偽るのが簡単だから。
でもさ、

「キスで何が伝わるのかなー。」
「・・・・・・お前、自分からしたことあるのか?」
「・・・黒様にはないね。」
「・・・・・・・・・・・・・。」

そんな顔しないでよ。一度だけだよ。たった一度だけ。
あの人は、もう眠った後だったけど。
だから、何も伝わってないんだ。
いろんな想いを込めたけど、キスじゃ何も伝わらない。

「おい。」
「んー? っ・・・」

うわ、いきなりだねー。不意打ちはやめてほしいなあ。

「・・・・・・これは、どういう意味のキスー?」
「当ててみろよ。」
「・・・『俺の前で、他の奴のことを考えるな』とか?」
「伝わるじゃねえか。」
「・・・・・・・・・。」

ああ、思わず言葉をなくしちゃったよ。黒たんが、そんなにヤキモチ焼きだとは思わなかった。
そんな勝ち誇った顔で笑わないで。いつも負けてるのが丸分かりだよー?

「キスなんてのはな、口にできない想いを伝えるためにするもんなんだよ。」
「・・・黒むー、キスって言葉、似合わないねー。」
「うるせぇっ!!!」

それになんか、乙女チックだよ、その台詞は。

「照れくさくて、好きって言えないんだー?」
「そうは言ってねえ!!」
「そういう意味でしょー。」
「そうじゃねえ!!!」
「じゃあ言ってみてよ。」
「・・・・・・・・・。」
「黒みゅー、」
「・・・だよっ!?」
「好きだよ。」




               やってやったぜ、ゲロ甘!!
               黒鋼が乙女チックですが、気にしな
あああい!!
               テーマはアシュラ王にヤキモチ焼く黒鋼で。
               そして、照れくさいからキスで誤魔化す黒鋼で。
               この後、もうちょっとあったんですが、ファ黒くさく
               なるので削除しました。見たい人は下へ。




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付け足し

「大体、そういうことは、しょっちゅう言うもんじゃねえだろ。だからお前の言葉は軽く聞こえるんだ。」
「ふーん・・・。でも、黒りんもよくキスするよねー。」
「・・・それは・・・言葉じゃねえからいいんだ。」
「でも、黒様のキスは軽いよね。」
「・・・重いキスってどんなだよ。」
「・・・・・・してほしいの?」
「・・・っ!!いらねえっ!!!」
「そんなに遠慮しなくていいよー。何で逃げるのー?」
「いらねえっつってんだろ!!!追ってくるな!!!!!」

終わり。