『涙』(黒ファイ)
抱いた体の震えに目が覚めた
嗚咽にもならない吐息が胸にかかる
寝惚けた振りで抱き寄せた
優しさなんかじゃねえ
誰かの為に流れる涙を受け止めきれない間抜けな弱さだ
超へたれ。
『首』(アシュファイ)
もう側にいられないならいっそ殺してしまおうかと
夢に堕ちる貴方の首に手をかけた
本当に殺したかったのは
いつかまたこの場所に戻れるなんて
甘い夢を見ている自分自身
出来もしないことを出来ると思うのなら
最初から眠らせる必要さえなかったのに
力を込めることさえできずに震える指を離したら
せめてその後に愛の痕を残そう
どうかこの想いまで置いて行ける様に
アシュファイはいくらでも切ないの書けますね。
『熱』(小ファイとかどうだろう)
昔誰かに聞いたんです
紅い星より青い星のほうが熱く燃えているんだって
だから
不思議だねって笑う貴方の誰よりも静かなその瞳も
もしかしたら誰よりも強い願いを秘めて――
手の届かない星の熱なんて
確かめようもないけれど
頑張れ少年。
『君』(黒ファイ)
一人きりのつもりの部屋で あいつが歌を口ずさむ
知らない言葉 慣れない旋律
白い奇妙な生物は歌詞までは翻訳しないらしい
だから歌い手と同じく妙な歌だと
不意にこちらに気がついて はにかみながら振り返る
故郷の恋の歌だという
「良い歌でしょー?」
「分からねえ」
答えた言葉をどうとったのか 不満げな顔の後に咲く微笑
「でも”愛しい貴方”は君のことだよ」
「・・・・・・・・・」
成る程 なかなか良い歌だ
甘。
『虐』(アシュファイ)
「アシュラ王、会議中にこっち見るのやめてくれませんかー?」
「どうしてだ?お前が赤くなって楽しいのに。」
「・・・いじわるは嫌いですー。」
「虐められるのは好きなのにな。」
「だ、誰の話ですかっ!!(///△//)」
お前だよ。
『抜』(小ファイだかファ小だか)
「大丈夫、抜いてあげるよ」
「で、でも、ファイさん・・・」
「何ー?」
「わ、若いうちはあんまり抜かないほうがいいって・・・」
「でも、このままってわけにも行かないでしょー?」
「それは・・・」
「すぐに終わるよ、じっとしててー。」
「・・・・・・っ」
「はい、抜けたよー♪」
若白髪。
絶対あるって。
『朝』(アシュファイ)
目覚めのキスを交わしたら、その日の互いの予定の確認。
相手が何処に居るか知っていれば、探さなくていいでしょー?
「朝食の後10時から会議ですねー。昼からは予定はありませんけど、書類がたまってるみたいですからさっさと片付けて下さいね。」
「・・・お前の予定は?」
「オレですか?朝はアシュラ王と同じ会議、午後は魔術師のほうの任務が。」
「・・・では」
「貴方は、夜は隣国の使節の接待でしょー?大変ですねー。何か言いかけました?」
「・・・・・・いや、いい。」
予定の確認が済んだら、それぞれの場所へ。
でも、次の約束があった方が、仕事もはかどるものじゃないー?
「アシュラ王、」
「何だ?」
「その使節が雪で遅れてましてー、到着は明日になると連絡がありましたから、今夜はオレと飲んでくれます?」
「・・・・・・ああ。」
ほころぶような笑顔を見たら、さあ、今日も一日頑張ろうかー。
アシュラ王は駄目な人。
『拒』(黒ファイ)
「鳥は臆病なんだってー。だから、針とか刺されそうになったら、刺される前に恐怖で死んじゃうんだってさー。」
何処で聞いてきたのかそんなことを取りとめもなく話す横顔を見ながら。
鳥より臆病で手を伸ばされることすら怯えるお前が何を言うんだと。
何気ない会話は内への進入を拒む言葉
まだしばらくその中を覗かせる気はないらしい
隣の席の酔っ払いのお話。嘘だか本当だか。
『濡』(小ファイ)
雨の中あの人が外に立っていたから
何してるんですか、と声をかけた
振り返る金の髪から雨の粒が滴る
「雨が気持ちいいからー」
嘘でしょう?
雨に濡れたいときの気持ち
おれも良く知ってます
「・・・風邪、ひかないでくださいね」
そういって窓に背を向ける
他にかける言葉なんて知らないから
どうか貴方の頬を濡らした雨が
少しでも早くやみますよう
黒様呼んで来いよ。
『壊』(百合s(ファイさんとサクラ様))
今を壊す魔法の呪文
「今がずっと続けばいいな」
明日を壊す魔法の呪文
「絶対言うから待っててね」
お約束というやつ。望んだ明日は来ないんですよ。
『逆』(ファイ)
泣きたくてどうしようもなくなった時は
鏡の前で笑う練習をするんだ
ちゃんと笑えることを確認したら
何事もなかった顔をして君達の前に戻るよ
ああでも鏡は逆を映すから
ホントのオレは泣いてるのかもしれないな――
ファイさん泣かせるの好きですね
『中』(アシュ←ファイ←黒ってとこかな)
あの人を失くしてからオレの中は空っぽ
ここにあったもの全部あの場所においてきたから
だからここには何もないのに
オレの中に君は何を探すの
熱したガラスに水をかけたらひびが入るみたいに
空っぽの心は弱くて脆いものだから
君の心を流し込んで
お願い、オレを壊さないで―――
入ってきて欲しいのか欲しくないのか分かんない感じの言い回し。
『凍』(アシュファイ)
自分が流した涙でお前が凍えないようにと
幾夜お前を抱きしめて眠っただろう
今も褥はお前の涙にぬれたまま
なのにお前がここにいない
どうかもう一度この場所へ
私が凍えてしまう前に
むしろ寒いですあんた。
『指』(アシュファイ)
窓が曇る朝はそこに貴方の顔を描く
「似てはいるが・・・指が冷たいだろう」
「大丈夫ですよー」
貴方は子供っぽいと笑うけど
やってみると楽しいもの
「じゃあ次はお前の顔を」
「あはは、ではご要望にお答えしてー」
旅先で久しぶりに曇る窓を見た朝は
さすがに貴方の顔を描くわけには行かなくて
自分の顔だけ描いてみる
曇った窓は冷たいんだとはじめて知った
指先がかすかに震えるとそこから雫が流れ落ちて
そこにいた自分は泣いていた
また泣かしてますね雪流さん。
『繋』(アシュファイ)
貴方から逃げることで
何かが終わるかと思ったのに
貴方から離れたオレはいつも
振り向いた景色の中に貴方の姿を探してる
解放という名の投獄
自由という名の束縛
オレは逃亡という形で貴方に繋がれたまま
けれどそれを断ち切ることを恐れて
この足を止めることさえ出来ない
逃げてる限り他人にはなれないんだということ。
『感』(黒ファイ+アシュファイ)
世界を渡る感覚は
地雷だらけの原をさまよう感覚に似ている
踏みたくない場所が二つある
別れの場所と再会の場所
君の国とオレの国
いっそ踏んでしまえば
後は楽になれるかも知れないのに
それでもオレはこの一歩が
苦しみの継続であることを望んでるんだ――
後半になるとアシュファイが増えるってどういうこと。
『好』(黒ファイ)
「月ってホントに満ちて欠けるんだねー」
「あ?当たり前だろ。」
「オレのいた世界はいつも曇ってたからさ、時々見えるつきの形がいつも違うのは、月がイッパイあるからだと思ってたんだー」
「ほお・・・」
珍しそうな顔をするのは、オレが自分の国のことを話したからかな。そういえば、まともに口にしたことはほとんどない。
だって、苦手だから・・・。
「ねえ、どうして月って満ち欠けするのー?」
「しらねえのか?あそこには神の使いの兎がすんでてな、兎は月から地上を眺めて、悲しいことがあると泣くんだ。」
「・・・・・・うん、それで?」
「泣き腫らした赤い目が地上の人間に見えたら恥ずかしいだろうって、神が月を欠けるようにした・・・って、何笑ってんだよ。」
「あははは、ゴメンねー。」
どうして君はそんな顔してそんなメルヘンな話をいちいち信じてるの。
「でも兎なんて見えないよー?」
「いるじゃねえか、ほら。餅をついてる影が。」
「えー、どっちかと言うとカニに見えるんだけどー。」
「兎だ!」
「あーはいはい、で、その後兎はどうなったのー?」
「・・・・・・お前、馬鹿にしてねえか。」
「そんなことないよー。黒むーの国の話は大好きだよー?」
メルヘンで馬鹿馬鹿しくて君に似合わないところが。
ついでにそんなのを真剣に語る君もね。
短すぎて小説に出来なかったネタ使い回し(おい)
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