悲恋 悲しい恋の結末は これが二人の願いだった? 3度目の外での接触。 『封真っ!』 『俺は「神威」だ』 そこは夢の外だから。 それでも、桜塚護の死、昴流の失踪、嵐を守った空汰が重傷を負ったときも。 天の龍の仲間以上に、神威を支えたのは封真で。 そしておそらく、封真を支えたのも神威だったのだろう。 何を話したわけでもなく、ただ側にいただけ。 それでも 夢には目覚めが訪れる 「明日、神剣の封印を解く。」 その夜、いつもの場所に着くと、神威は開口一番、そう告げた。 それは、此処ではタブーだった外の話。 封真は、「そうか」と答えただけで、後はいつもと変わらなかった。 求め合って応え合って、意識がなくなるまで抱き合って。 いつもと同じぬくもりの中で、いつもと同じ朝を迎えた。 ただその日だけは、二人とも、起き上がる気になれなかった。 神威がぽつりと口を開く。 「昴流は・・・桜塚護に殺されたかったって言ってた・・・・・・」 「それがあの天の龍の望みだったからな。」 「桜塚護が死んだのは・・・?」 「自分の望みのためだ。」 ふと神威の耳に、昴流の言葉が蘇る。 『誰もが幸せになる道なんてないんだよ』 食い違った望み。すれ違った想い。 あの二人には、他の道はなかったのだろうか。 (じゃあ、俺たちの道は・・・?) 神剣を抜いて戦えば、おそらくどちらかは死ぬだろう。 あるいは、『封真』が帰ってくるのだとしても。 共に夢を見るのは、きっとこれが最後。 (・・・・・・俺の望みは・・・?) 何度も口にした言葉。 『俺ハ 封真ヲ 取リ戻シタイ』 「分からなくなったんだ・・・」 「何が?」 「・・・俺の望み」 俺ハ『封真』ヲ・・・・・・ 封真ヲ――――? 「・・・お前は誰・・・?」 本当の『封真』は何処にいる? それは取り戻すべきもの? じゃあ、ここにいるのは誰。 『封真』と同じぬくもりで、この体を抱きしめるのは。 『封真』ジャナイコトナンテ、最初カラ分カッテル ソレデモ良イッテ思エタンダ・・・ じゃぁ望んでたのは何・・・? 「それが分からない限り、お前に結界は張れないないぞ。」 そう言って、封真はソファを降りた。 「封真・・・?」 「夢はここで終わりだ。」 「・・・・・・俺が先に行く。」 「最後くらい、俺に行かせろ。」 そう言って最後のキスを交わして、封真は外に向かった。いつも、先に夢から覚めるのは神威だったのに。 神威は、その背中を引き止めることも出来ず、ただ黙って見送った。 そしてふと思う。彼の望みは何だったのだろうかと。 どうして今日だけは、先に夢から覚めただろうかと。 『後ろから殺すかもしれないぞ?』 『それは良いんだ。何も見なくてすむから。』 「・・・・・・封真・・・?」 彼は何を望んだ? 気が付くと、頬が涙で濡れていた。 それが何のために流れた涙だったのかは、自分でも分からなかった。 きっと、二度と戻れない夢と、夢に終わった恋と、自分でさえ分からない自分の望みと、おそらく叶えられなかった彼の望みと。 そして、これから始まる終末と、変えられない運命に。 「封・・・真・・・・・・」 一つだけ、自分の中にはっきりしたものがあった。 この夢が本当は恋であれば良いと。 いつか覚める夢ではなく、悲しい結末に終わったとしても、確かに存在していたと言えるもの。 秘恋はとうに逃げ場をなくし、悲恋への道を進んでいた。 他に道などなかった。 「封真・・・・・」 それなら一つだけ最後の願いを 誰もが幸せになれる道など存在していないのなら これから迎える結末に、せめて彼が悲しまずにすみますよう 今日はきっと結界を張れる。そんな気がした。 23456ゲッター暁夏ちゃんからリクエスト頂きました。 『封X神』『原作沿い』のち『捏造シリアス』時々『裏』。 秘恋の結末は、CLAMPさんに任せます(痛) これで神威ちゃんが結界はれなかったら大笑いだよ。 かろうじて原作は曲げてないと思いますがいかがでしょう。 『封X神』かどうかがすごく怪しいと思いますがね。 暁夏ちゃん、素敵なリクエストをありがとうございました♪ BACK |