T.Balance Game

踏み込んで来る訳じゃない。
彼のその行為を分かり易く愚かな言葉で表せば。
『心配』ということになるのか。

けれどそれは相応しくなんかない。
手遊びにすくい上げる水よりきっと確かな。
かたちのあるものに縋り付いてしまう幼さを否定するような。

   ――見てないようで見てるから、きっともう直ぐ見透かされる。

鍛え上げられれた筋肉の付いた胸に手を這わせても。
喉元に絡み付いて来る冷たい手。


いつか。

オレがすべてのしがらみから、自分を解き放てたなら。
その腕を未だ纏ってもいいの、と問うたとして。
その答えが、肯定になるまでは。
あなたに頼れない。

(どんなに、愛しく思っても)それを恋、だなんて言えない。




U.Breakfast Sweet

「なんでこんなもので器用に食べられるのかなぁ」
しみじみ疑問に思って呟くと、彼はなんでそんなものにそんな苦労するんだ、と尋ねて来た。
だぁって、と口を膨らませておく。
無邪気な振りは慣れたもの。

「仕方ねぇな」
彼はそう言って、既に食べ終えていた自分の膳から箸を取る。
そしてオレの膳の、芋を器用に挟んで。
呑気に感動していたオレの、開いていた口の中に放り込んだ。

「・・・え?」

「いいか、まず、こうやってペンを握るように持って」
「えぇぇその一寸今のなに!?」

地震騒ぎでまわりに人がいない―とか、そういう問題じゃなくて。

「たまには甘やかしてやろうと思って」
不適に笑われると、どうしても。
「・・・別に甘やかしてもらえるならお箸持てなくて良い・・・」
「一回だけだよ、ほら、やるぞ」

言われるままにやっていれば、持てるようになって来るものだったけれど、それはそれ。
「ねぇもう一回〜」
「駄々こねるな」
「じゃあ、今晩ひとつだけ我侭聞くから〜」
「・・・」

甘やかされる挙句、何をさせても最終的にイイ思いをさせてくれる。
今の所彼は最高の彼氏。




紅条ゆまさんから頂いてしまいました♪
いつ拝見しても素敵な文章を書かれるお方です。
そして高度な文章の中に甘さと切なさと。
正反対な二色を見事に描き出してくださいました。
っていうかファイさん可愛すぎです・・vv
彼女にマガジンを捧げて良かった・・・。
ゆまさん、ありがとうございました!!
また萌える黒ファイシーンあったら持って行きますね!!





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