〜アナタの傍で〜
 
ここは桜都国というらしい。
私の名前はサクラ。
今は、小狼くんと一緒に『猫の目』というミセでお留守番中(店番中)。
ファイさんと黒鋼さんはイの一という鬼の情報を集めに出かけたようだ。
 
「サクラどうしたの〜〜?」
いきなり饅頭みたいな生き物がサクラの顔を覗き込んできた。
モコちゃんだ。
「なんでもないよ。ちょっとぼ〜っとしちゃっただけ。」
サクラは顔に笑みを浮かべた。
「サクラ姫、大丈夫ですか?」
後ろから声をかけられた。
この声と言葉づかいは小狼くんだ。
「大丈夫だよ。それに・・・・」
サクラは振り返り言った。
「それに・・・・・私、頑張らなきゃ!!」
「?」
サクラの言葉に小狼は不思議そうにした。
「あ、あのね」
サクラは小狼の様子を見てあわてて言った。
「あの、私小狼くんがいつも助けてくれるのに寝てばっかりで何にも役に立てなかったから、・・・・・
だから、私ファイさんにもっと料理教えてもらって少しでも役に立てるように頑張ろうと思ってるの。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
小狼くんは吃驚しているように目を開いている。
だけど、すぐに微笑んで口を開いた。
「ありがとうございます」
小狼くんのその言葉と笑みがなんだか嬉しくて心が暖かくなった。
 
 
――――私の傍に居るのがアナタでよかった。
      アナタは本当に優しくて・・・・・・・・・・・・・。
      でも、なんで優しくしてくれるんだろう?
      もしかしてずっと前から私の傍に、いつもアナタが居て。
      アナタの傍に、いつも私が居たんだろうか?
      それも、この旅をしていれば思い出すよね?――――――
            
             『小狼くん・・・』
サクラのその呟きを聞いていたのはその場にあった、空気だけだった。
 
 
      

黒影様から頂きました、小桜ssですv
黒影様の小説に描かれる場の空気がとても好きです。
二人の温かい想いが伝わってくるんですが、
それでもサクラちゃんの願いは叶わないんだと思うと切なくなりますね。
温かさと冷たさが混在するような素敵なお話でした。
黒影様、ありがとうございました!



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